登山ではダウンとフリースどっちを選べばいいの?
登山でミドルレイヤーを選ぶとき、ダウンにするかフリースにするかは悩ましいですよね。
ダウンは収納すると、手のひらサイズに収まって持ち運びに便利ですが、濡れると保温性がなくなるので、行動中には不向きです。
またフリースは温かいのに通気性があり、登っている最中に着ていて快適。でもいざ暑くなって脱いだらザックの中でかさばってしまう。
どちらも一長一短で、得意なシーンがあるので、それぞれの特徴を見てみましょう。
ダウンウエア
ダウンとは、ガチョウやアヒルなどの水鳥に生える綿毛(ダウンボール)のことで、その1個1個の綿毛を中に詰めて作ったのがダウンウエアです。
まずダウンウエアのメリット、デメリットは何かというと…
メリット
デメリット
そもそもダウンボールとは?
水鳥の首から胸の根本で寒気を寄せ付けないようにたくさん生えている綿毛のこと。
ダウンはFP(フィルパワー)という数値で品質が決まります。550FPとか1000FPとか書かれており、数字が大きい程、品質がいいという見方になります。
品質がいいダウンボールほど、みっちりしているという表現がしっくりきますね。
ダウンが持つ「かさ高さ」を数値に表したもので、数値が高いほど高品質とされます。
一般的には550~700FPが良質ダウンとされています。品質の高いダウンはわずかな重量で極めて高い保温力を持つことができるため、同じ暖かさのダウンジャケットを作ろうとした場合でも、極めて軽量な製品を生み出すことが可能です。
出典:モンベル公式サイト
昨今のアウトドアメーカーが作るダウンウエアは、700~1000FPが多く、価格は高いですが、驚くほど軽くて温かいです。
気温が下がる標高の高い山小屋に泊まるときは、夏でも必ず持っていきたいウエアです。
フリースウエア
フリースウエアはアウトドアに限らずセーターに変わって街着でよくみるようになりました。
こちらも先にメリット、デメリットを考えてみる。
メリット
デメリット
フリースウエアはポリエステル繊維を起立させて、空気を蓄える層を生み出す保温ウエアです。
なじみ深いフリースですが、もともとフリースを世界で初めて開発したのは、アウトドアメーカーであるにパタゴニアです。
創業者であるイヴォン・シュイナード氏は、繊維メーカーのポーラテック社(旧モルデン・ミルズ社)とともに、1977年に、世界初のフリースジャケットになる「パイルジャケット」を誕生させました。
その頃は一般的に登山で使う防寒着は、ウールの山シャツが多かったのですが、特有のちくちく感が苦手な方やずしっと重いウエアに我慢を強いられてきた歴史があります。(ウールはウールでもちろんいいところも多いですよ)
そこで登場したのが、あったかいのに軽い。まさに登山家にとっては夢のようなウエア。
今となっては当たり前のことですが、当時は相当画期的なアイデアで喜ばれたことでしょう。
ダウンとフリースそれぞれに適したシチュエーション
これまでの解説を踏まえて、ダウンとフリースそれぞれに適した場面を考えましょう。
保温着としてダウンを使うシチュエーション
ダウンは「保温着」であり、軽量コンパクト性がメリットです。
少しでも荷物を軽くしたい登山、例えばテント泊は他にも荷物が多いので、できる限り荷物を減らしたいものです。
またテント泊は休憩時間や山で過ごす時間も長いので、保温性の高いダウンを重宝するでしょう。
秋~春の日帰り登山の休憩時も、汗ばんだ身体を冷やさないために、ダウンを着るのがベストです。
保温着としてフリースを使うシチュエーション
フリース特に薄手は行動中も着ることで真価を発揮するウエアです。
少し体温が上がっても、通気性の良さで暑くなりすぎるのを防ぎ、ストレッチ性の高さも相まって動いていてもストレスを感じにくいでしょう。
多少の汗をかいても着続けることができるので、秋~春の日帰り登山の行動着として活躍します。
厚手のフリースは主に冬の登山、ハイキングや、写真撮影等あまり動かないアウトドア活動にも活躍します。
暑くて脱がなければならないシーンで使うにはあまり向いていないウエアです。
ダウンとフリースそれぞれに適したシチュエーションを挙げてみました。
購入するときは行動中に使うことがあるのか、もしくは休憩中に使うのかをよく考えてみるといいと思います。
登山用品店の店員さんにも、どういったシーンで使いたいのかを具体的に伝えると、的確なアドバイスを返してくれるはずです。(私もぼんやりと濁されると、どう使うかが想像できず、案内に苦慮したことがあります)
「行動着」が欲しい場合はフリース(薄手)、「保温着」が欲しい場合はダウンがおすすめです。
いずれ山の深みにはまっていくと、両方揃えることになるんですけどね。
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